チェックポイント リーディング(checkpoint reading)って聞いたことあるでしょうか?ググって2~3ページ見た範囲では見あたらないので、yamahigeの造語としておきます。…まぁ、わたしに英語のセンスがないだけの話かもしれません…
- チェックポイント リーディング(checkpoint reading)
あらかじめ設定したチェックポイントに基づいて情報を読む。
例えば、あらかじめ設定したチェックポイントに基づいてプロジェクトやタスク/スケジュールの状況を判定し、また文章を読む。
- チェックポイント ライティング(checkpoint writing)
あらかじめ設定したチェックポイントに基づいて情報を書く、作る。
例えば、あらかじめ設定したチェックポイントに基づいてプロジェクトやタスク/スケジュールを計画・設定し、また文章を書く。
チェックポイントというのは、情報を評価する視点・観点など評価基準(criteria)を、項目(ポイント)のリスト・箇条書きにしたものです。
視点・観点は、最初から評価のために用意されたものもあるでしょう。それだけでなく、元々は、ものごとの特徴、仕事のポリシー・方針、見いだされた共通点、などなどであったりもします。
チェックポイント リーディングとは、あらかじめ、そのようなチェックポイントを設定して、それに基づいて文章や情報を読むことを言います。これは、誰もが普段行っていることですから、単にそれに名前を付けただけです。何か新しいメソッドを提唱してるわけではありません。
また、チェックポイント リーディングは、定性的な情報を定量化(☆3つとか)やコード化(○×△)するときに、よく行われます。「情報」とは言いにくいですが、レストランの評価や、オリンピックの採点競技や、人事の目標管理などを思い出してみてください。
以下、少し具体的に説明してみます。
文章
文章に対するチェックポイント リーディングとして、「患者のための医療情報収集ガイド」 (ちくま新書、北澤京子)という本から例をあげてみます。
オーストラリアには、メディア・ドクター・オーストラリア(Media Doctor Australia)という活動があって、メディアに載る、医学上の新しい治療法に関する記事を評価して、ネットで公開しています。評価対象は記事そのもので、記事が基づいているエビデンスの質などではありません。
例えば、薬(pharmaceutical)の場合、評価基準(criteria)は次の10項目です:
- Novelty of Treatment
- Availability of Treatment
- Treatment Options
- Disease Mongering
- Evidence
- Quantification of Benefits of Treatment
- Harms of Treatment
- Costs of Treatment
- Sources of Information
- Relies on Press Release
例えば、その記事では治療法の有益性を定量的に述べているか(Quantification of Benefits of Treatment)をチェックする、という具合でしょう。ただし、メディア・ドクターそのものは、わたしはかなり専門外なのでこれ以上は踏み込みません。
さて、メディア・ドクターのような具体的なチェックポイントと「重要度で色分けして傍線・マーカーを引く」読み方を対比することで、チェックポイントリーディングを特徴付けてみます。
チェックポイント | 重要度で色分け | |
---|---|---|
情報の不足が分かる | ○ 見つからないことで、その情報が欠けていると気づく。 「治療法の有益性を定量的に述べていない」ことが分かる。 |
△ 情報の不足には気づきにくい。 「治療法の有益性を定量的に述べていない」ことには気づきにくい。 |
評価軸と評価対象を区別して議論しやすい。軸そのものにも是非があり、検討の対象となりうる。 | ○ 区別して議論しやすい。 数字が載ってさえいれば定量的と言えるのか?というのは、軸側の問題ではないか。 |
△ 評価軸の問題と対象への評価とが混同されやすい。 |
評価軸の適・不適があり、評価軸のスコープ内・外が分かる | ○ その評価軸の対象外であることが判明しやすい。 |
N/A 「重要度」とはそもそも汎用的な基準なので、対象内・外ということはない。むしろ、幅広く適用できることを目的としている。 |
敷居の低さ、取り組み易さ | △ 敷居が高い。 |
○ やりやすい。 |
ちなみに、この表の縦軸は、わたしが提案する「読書法評価基準」ということになりますね (^-^)。
もちろん、重要度で色分けする方法も、最初の定義だけからなら、「とても重要/普通に重要/重要でない」といったチェックポイントで評価するチェックポイント リーディングの一種である、と見ることができます。
つまり、上の表は、言わばコントラストを上げることで、チェックポイント リーディングの特徴を強調したものです。ここでオリンピックの採点競技を思い出してみると、この表の縦軸は重要だと思います。
プロジェクトやタスク/スケジュール
例えば、xfy Plannerのマトリクス系のリフィルは、プロジェクトやタスク/スケジュールに対するチェックポイント リーディングやチェックポイント ライティングに該当します。
この観点で言うと、例えば「マスト×ウォント」リフィルは、タスクを「必要性」軸と「意欲・意志」軸の2軸マトリクスに配置することで、個々のタスクやプロジェクト全体を読んだり、計画したりするリフィルです。
- 必要性: するべき、ふつう、するべきでない、該当せず(設定なし)
- 意欲・意志: したい、ふつう、したくない、該当せず(設定なし)
プロジェクトやタスクを評価する軸というと、有名なところでは、目標設定のSMARTなどもそうですね: SMART criteria、Specific、Measurable、Attainable、Relevant、Time-bound。
この分野でリストというと、評価する側と、評価される側のタスクとに分けて考えると整理しやすいと思います。
- 評価する側のリスト: プロジェクトやタスクを評価する基準
- 評価される側のリスト: タスク、実行する項目。ToDoリスト
必ずしもキレイに分かれて分類されるわけではなく、評価基準から発して評価する行為をToDoとみなして実践することもあります。持ち物リストなどは、そのような例でしょう。これは、分類論ではなく、考え方のコツです。
*ListFreakや、check*padの注目公開リストには、評価される側のリストとともに、評価する側のリストも多数、見つけることができます。
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